瑛子さんの大連ってどんなとこ

 大連に住むリケジョの瑛子さん。経済発展著しい大連の街の様子を冷静な観察眼で描くレポートと写真から無限のビジネスチャンスが見える。

大晦日

 大晦日2月18日(旧暦12月30日《30日がない年は29日、とにかく旧暦1月1日の
前の日》)は中国の大晦日です。春節は正月1日ですが、一番重要なお祝いは、
この大晦日の日です。 

 田舎では旧暦29日から、新しい年に対する願いを俳句みたいな文面にして
対聯という、ドアの両側と上に張る紙や、庭の一番外側の大きいドアに、門神という、 
家を守る神の画を張ります。そのときまでに家族全員が家に戻らなければ
ならないのですが、都市ではそんな贅沢ができなく、せめて大晦日の昼食までには
対聯を張ります。 

 一昨年と昨年は大晦日が出勤日にされ、正月7日まで休みでした。 
毎年の祝日休みを決めるのは中国政府の「暇日弁公室」という部門で、 
大晦日を出勤日にした理由は「どうせこの日は出勤日でもろくに出勤する人 
(出勤させる会社)がないから、1日多めに休める」と説明。 
厳格に、決められた祝日休みどおりにしなければならない人たちからは 
猛批判されました。まあ、特に今の情勢では、もし大晦日が出勤日である場合、 
役所の皆さんは一刻も早く退勤する勇気がないだろうから、今年は、大晦日が休みに戻ってしまいました。

 大晦日のスケジュールは、朝早く起きて、家の掃除&片づけをします。 
中国は共稼ぎが多いため、春節を機に家全体を徹底的に掃除するのが多いのです。 
通常1ヶ月前から、いつもは掃除しない天井や隅々を徹底的に掃除し、 
カーテンなどは、先に全部洗濯しておいて、この日は改めて全面的に仕上げるだけ。 
そしてさらに夕食の食材などを準備します。

昼食までに対聯を張って、昼は大体簡単に麺などを食べます。 
子どもがいない家なら食べないこともあります。それから夕食を料理します。 
お肉料理はもちろん、蝦、魚は必ずあって、大連では大体「あわび」があります。 
それから各家が、自分の好き嫌いで、ナマコや野菜、前菜などをメニューに 
入れますが、全体のお料理の数は必ず6、8、10など偶数の縁起のいい数にします。 
お料理はいっぱいあって、大体主食を食べるまでいきません。 

 午後4時からは爆竹の音があっちこっちから聞こえてきます。 
というのは、夕食の前に必ず爆竹を鳴らして、古い年の悪運を流し、 
新しい年が爆竹みたいに盛大に燃えることを祈ります。 

 親が健在の家族は、子どもが各都市から帰省して親の家に集まって賑わいます。 
夫婦両方ともが一人っ子で、どちらの親元に戻るかで、毎年大喧嘩の若い夫婦も 
少なくないです。4時半からの夕食ですが、お酒を飲みながらおしゃべりをして、 
大体7時8時まで続けます。子どものころは、必ず最後に酸菜のしゃぶしゃぶが 
出てきます。それも今の電気なべではなく、炭を燃やす銅のなべで、 
20人も30人も大きいテーブルについて、熱々の鍋をフーフーと食べましたが、 
今は子どもの数が急減して、しゃぶしゃぶを食べる家族は全然なくなりました。 

 食後は、北の地方の皆さんは中央テレビの「春節演出」を、翌日1時過ぎまで 
見ますが、広州など暖かい地域のほうでは、「花市」などへ行って、きれいな花を 
観賞しながら好きなのを選びます。子どもは遊びに専念すればいいのですが、 
大人はやはり夜中12時に食べる餃子を作らなければならないです。 
この餃子の餡は、昔は「素餡」といって、具は野菜や春さめなどのみで 
お肉はいれないのですが、やはりお肉のない餃子は通常「おいしくない」ので、 
今になって大連では「韮、蝦(または魚、貝などのお肉)、肉」の「三鮮」が 
主流となりました。

 30年以上も毎年続けてきた「春節演出」は、毎年数ヶ月前からたくさんの 
注目を集めますが、ますます評判が悪くなり、がっかりしながら 
この1年間の一番重要な夜を送ります。