瑛子さんの大連ってどんなとこ

 大連に住むリケジョの瑛子さん。経済発展著しい大連の街の様子を冷静な観察眼で描くレポートと写真から無限のビジネスチャンスが見える。

蝋八

 旧暦(中国では農暦という)12月は「蝋月」ともいい、寒い冬の中でも、特に寒い時期で、「寒冬蝋月」との言い方もあります。今年の1月27日は、旧暦12月8日にあたるのですが、「蝋八」と呼ばれ、「蝋八粥」を食べます。

 なぜ、この日にこのお粥を食べるのか、いろいろな言い伝えがありますが、なかでも、お釈迦様がこの日に佛様になったことをお祝いする日、という説が最有力説です。本当に生まれてからきょうまで、慣れ親しんできているこの「お粥を食べる日」が、仏教との関わりが深い日であるとは、大変意外でした。

 私達は、ほぼ毎朝お粥を食べていますが、この「蝋八粥」は雑穀粥とも言え、餅米、赤豆、棗、蓮子、リュウガン、乾燥ユリなどを入れます。いろいろな食材を用意しなければならないことで、核家族の多い今、1食分だけ買って食べたり、なかには、食べない人たちも増えています。10年前ぐらいでしょうか。ある日本人の方が中国人の友達の親の家を訪ねて、こういう雑穀粥をご馳走されました。
「なんでお米ではなく雑穀なのかなぁ。貧乏だからかなぁ。かわいそう」と、後で、あまりにも不思議で、私に話したこともありました。実は、その親御さんは、普通のお米より雑穀のほうが、栄養いっぱいで、美味しいから「ご馳走」したのです。

 また、お粥といえば、面白い話を思い出しました。ある友達の夫さんが欧米人で、奥さんは毎朝お粥を食べますが、長い間ご主人は見むきもしなかったのです。もちろん中国人にとっては、一番体に良く、朝一番でまだ目覚めていない胃袋に合う「アワ」のお粥が最高なのですが、その欧米人の夫さんにとっては「変な食べ物」だとしか思われなかったのでしょう。しかし、数年前、夫さんの方が病気で入院して、奥さんがくっついて看病し、料理する余裕がまったくなかったので、食事を外注しました。病院の周辺には、患者さん向けの外注食が殆どでした。しょうがなく「アワ」のお粥を食べたら、そのうち好きになって、今は、少し具合が悪いと思ったら、すぐ奥さんに「黄色いお粥」を注文するようになったそうです。

 中国では、出産後、病気の際、一番の主食は、体に優しい「アワ」の「黄色いお粥」なんですよ。