瑛子さんの大連ってどんなとこ

 大連に住むリケジョの瑛子さん。経済発展著しい大連の街の様子を冷静な観察眼で描くレポートと写真から無限のビジネスチャンスが見える。

融通の利かないクレーム対応

 
 日清ラーメンが中国での合弁をやめ。独資で中国での販売にがんばる、というニュースを見ました。

 大丈夫かなあと心配です。

 というのは、日系企業は製品の質はいいのですが、市場開拓やそのアフターサービスシステムが、なんとなくのろくて融通が利かない、という感じがするからです。
販売に関しても、積極的に売ろう、とする姿勢もなく、買ってくれれば買ってくれればいいし、特に、積極的に買っていただこう、というような努力もしません。問題になった際も、解決してくれるよりは、会社の規定やら、他の協力業者の責任やら、消費者にとっては関係ないじゃないと思われることばかりを言い訳をするだけなのです。さっさと謝ってすぐに解決してくれる、というようなことはないのです。よって、ほんの小さいクレームだったとしてもその対応のまずさで、最終的には悪評につながっていってしまう、と言うケースは少なくないでしょう。
 
 でも、よく考えると、こういう問題は日系のサービスだけではなく、インターネット販売の「官方旗艦店(メーカー直営店)」の共通問題である、ともいえます。問い合わせに対しても、「痒いところに手が届かない」対応で、回答にならないような決まった定形回答でしか対応せず、お客さんが一体何を聞いているのか、には全く関心がないのではないか、と思わせる感じすらします。

 これらに共通しているのは、管理者の「スタッフに対する管理能力」でしょう。いわば、がんばる意欲がなく、がんばってもメリットがなく、がんばらなくても叱られない、となると、だれでも、決められたことを気軽にやるだけでよい、ということになるのでしょう。


ビジネスチャンス・キーワード:
メーカーとクレーム対応、消費者と苦情申請、製品の安全性

進化する買い物モデル

11月11日に欲しいものを購入するわけ
 中国では、11月11日は「独身の日」と呼ばれ、若者を中心に、一斉に買い物を行う日として定着しています。案の定、インターネット販売No.1であるアリババは、今年も販売総額の最高値を更新(昨年比60%増)しました。

 私の親の新居である高層マンションが、中国では新築でもコンクリート打ちっ放しの状態で引き渡され、すべて入居者が自分の好きなようにデザインするようになっているので、私はその内装のために、コンセントをはじめ、照明、ベッド、洗濯機などを大量に買い、その販売額No.1に貢献しました。

インターネット通販の魅力とは
 昨年も紹介したように、ブランド品のメーカーがインターネットに参入したことで、安い代わりに保証がないのが欠点だったインターネット通販でも、普通に店で買い物をするのと同じように安心して買えるようになりました。しかし、やはり電化製品はアフターサービスなどに対する不安もあり、あまり試そうともしませんでした。
 ところが、今年になって、店で買ってもインターネットで買っても、アフターサービスについては、まったく同じアフターサービス指定専門店が担当するということが分かったのです。もしかしたら、品物を届けてくれるのも同じ人たちかもしれません。この背景には、小売店では販売だけを行い、倉庫や物流などは全部外注する形態が増えているというシステムである、ということがあります。洗濯機を例にすれば、店で買っても、その日に持ち帰ることはできず、まずは届く日を決めて、物流担当者に品物を届けてもらう必要があります。しかしそれは届くだけで、据え付けは、洗濯機メーカーの指定専門店の担当者が行い、アフターサービスも同じ店が担当します。インターネットで買った場合、物流を任せられた方が違っても、その後はまったく同じ流れになりますので、心配する必要はありません。

 ネット通販のトラブルとは
しかし、トラブルとしてよく聞かれるのは、インターネットの場合、遠いところからの発送となったときに、物流途中で乱暴に取り扱われることが多い、ということです。壊れてしまっているのであれば、返品し交換してもらえばいいですが、外観に少し損傷があるだけ、ということもあり、交換するのは面倒くさいが、そのまま新品として受け取るのも気が進まない、という不満も多く聞かれます。
 また、こういった買い物が集中する時期や、物流業者も帰省してしまい人手不足となる春節などには、なかなか物が届かない、というクレームも多くなります。

それでもなぜネット通販で買うのか
 何故、それでもインターネットで買うのか、というと、答えはやはり「安いから」ということにつきるでしょう。同じ洗濯機を例にすれば、店でどうしても4,000元(約8万円)程度はするものが、インターネットではその半額で販売されているのが普通です。電気屋では、割引後の値段の半分というのも、珍しいことではありません。
 ただ、今回は電子レンジもいくつか見ましたが、購入はしませんでした。というのは、新しい技術がまったく分からず、写真で見てもボタンが複雑すぎて理解できず、各種機種のどこがどう違うのか、が、さっぱり分からないからです。やはり、やや高くても、店頭で詳しく説明してもらって、自分に合うものを選ぶ方がいい、と思いました。

将来の買い物モデルは
 将来は、店頭では物を販売するより、商品を購入する前に説明を受けて使用体験する場所、として発展していくのではないでしょうか。

ビジネスチャンス・キーワード:
ネット通販、店頭販売、消費者ニーズ、家電先端技術

お財布なしでも大丈夫

友達がコンビニに行って、煮物なども含めいろいろ注文して、レジで精算しようとしたら、「ああ、しまった。財布を車に忘れてきた!」と、一瞬、大変なショックを受けてしまいました。それも、車が遠いところに止めてあるからです。

すると、やさしく微笑みながら、店員が「Weiチャットでも払えますよ」と、天使のような声で言いました。そこで、ささっと携帯を取り出し、精算のマークをスキャンさせ、さ~と支払完了したそうです。

財布を家に置いて温泉へ行って、1元しかポケットに入っていなかった友人が、携帯のWeiチャット支払いで、一日中遊んで、食べて、満足しました。

Weiチャットで支払うためには、銀行カードを登録して連動させなければならないため、ずっと抵抗がありました。しかし、安い映画切符の購入+事前座席予約・指定やタクシー・自家用車の白タクの予約・支払いなどなど、すべてできるうえ、はてには、うちの子の学校での各種雑費の支払いまで、すべてWeiチャットでしかできないようになってしまっています。

その現実に負けて、しぶしぶながらも、やっとやり出したところ、逆に、今度はそのあまりの便利さが癖になって、今はWeiチャットで払えるものは、すべて、全部、Weiチャットで払っています。

友達へのお金の振込み、割り勘なども、指一本でさっとできる、というのは、どうにも快感で、やめられない体験です。

携帯をなくしたら大変。。。と思いながらも、携帯がますます重要になっているこのごろです。

病院に行かない、行けない


私の実家がある故郷での話です。90歳のおじいさんの世話をみているおばさんがストレスのために免疫力が低下し、ここ半年よく熱を出すようになりました。

このおばさんは、ご夫妻ともお医者さま(外科)だったにもかかわらず、病院へ行かず、そのつど適当に薬を飲んで熱を下げ、かたや、そのうちだんだん効いてくると言われた、免疫力を高めるという漢方薬を飲み続けてきました。

薬を飲み始めて1ヶ月ほどたったころから、だんだん胃が痛くなりはじめ、とても具合が悪くなってきました。しかし、病院には行かないまま時間が過ぎていくと、なんと、顔色がすごく黄色くなってきてしまいました。誰が見ても、「肝臓の病気ではないか」と言われるまでは、特に治療もせずにほっといていたのですが、さすがにしょうがなく、ついに、病院に行きました。

すると、「肝臓が80%以上壊死している」ということがわかり、あわてて入院しました。実際には、肝炎ではなく、薬の副作用で肝臓がだめになった、との診断でした。治るとしても、半年以上は必要だろう、という、大変な状態になっていたのです。
なんで中国人(大人)は病院へ行かないのでしょうか。

それはたぶん、病院へ行っても丁寧に見てはもらえず、粗末に対応された分、逆にその怒りで病状が悪化する可能性があるから、なのではないでしょうか。

病院はいつも患者で溢れていて、1時間以上待ってやっと診てもらっても、1分間で問診が終わり、ろくに会話もなしに薬を買わせられます。
正直、半分以上は病気に関係のない薬で、病気に対応する薬でも、高い方の薬を指定される、という疑いが強いです。

しかし、こんな状況でも、子どもが病気、というと話は別です。逆に、どうも、ただの風邪らしくても、あわてて病院へ走ってしまうのです。大人の場合とは、まったく対照的なのです。

「万が一、風邪からひどい炎症を引き起こすことになる」のではないか、というような恐れや心配があったり、または、毎回風邪をひくたびに打つ点滴や抗生薬の使用のために、逆に体が弱くなり、本当に入院させなければならない肺炎などになってしまう可能性があるため、神経質になるのもしょうがないこと、なのでもあります。

でも、お医者さんから言わせれば、後ろに長い長い列で待っている患者さんたちに催促されて、余裕を持って一人一人を丁寧に診ることは無理ですし、子どもに対しては、過分に治療をしないと、万が一病状が悪くなると責任重大ですし、神経質な親たちから見ると、明日でも治ってしまう期待があっても、厳重な治療方法を取らないと“お医者さんが尽力していない”と逆に不満になります。

病気で入院しなければならないことになると、まず、“いい病院への入院”ということは、なかなかできません。病室が満杯で、誰かが退院するのを待つしかないのです。急病で、すぐにでも入院が必要な場合でも、まずは廊下に置かれているベッドに臨時入院して、病室が空くのを待つしかありません。

大連は、既に“入院難”で、たまらないと思えば、北京にいる人の話だと、「大連はまだいい方ですよ」というのです。というのは、北京・上海などの診断・治療レベルは、大連より高いため、医療保険が使えなくても、地元で確かな治療を受けられない(疑い)患者さんたちが、全国から北京・上海へ押しかけて来てしまい、地元の病気の人たちにとっては、全国からの病人の人たちと医療資源をシェアするしかない状態なのだそうです。

異文化交流のためのプログラム企画キーワード:
健康と病気、病院、入院、受診体制、医者と患者

虹に思う

いまは2015年10月、国慶節休みの後半ですが、この一週間ほど、大連の天気は例年と比べ、かなり変なのです。

太陽がまぶしく照りながら、雨がさわさわ降るのですが、それも降ったりやんだりなのです。雨が降る時なら、完全に晴れるまで徹底的に降るという、いままでの大連の天候とはあまりにも違い、大連の人たちにとっては、天気の異常を感じます。

また、うちの子にとっては、以前、北京に行ったときに、まるで奇跡でも見たような北京の虹を見て以来、灰色の雲を後ろにした大きな虹がかかるのを、なんと2度も見ることができ、大変な喜びようでした。

子どもの時、晴れた青空に大きな虹がかかるのを見慣れていた私と違い、今の子は虹を漫画でしか見たことがない、とも言えます。

汚れている空気にただじっと耐えるしかない今、虹が見えて本当に夢みたいに幸せな気分なのですが、同時に、なにやら深い悲しみが沸き起こるのを感じています。


日中交流プログラム・提案テーマ:
「きみが見た虹はどんな虹―気候の変化について語り合おう」

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国慶節の楽しみ方

10月1日は中国の国慶節で、1日~7日の長い休みも、春節のときの長い休み以外の唯一の長い休みで、本当の意味での「ゴールデンウィーク」です。
春節は真冬なので、季節的に、観光にあわないことと、親が健在なら、やはり帰省しなければならない、などの理由で、観光は控えめになります。なので、家族一同でどこかへ遊びに行くには、やはりこの国慶節しかない、かもしれません。

そこで、どこへ行くか、ということになりますが、どこに行っても人ばかりで、食事、宿、交通などすべて高い分、満足できないし、悔しい休みになってしまうニュースがしばしばでした。

しかし、今年は「誰も行かないところへ」とか「自家用車で観光へ」などのチョイスが増え、回りの皆さんもどこか有名な観光地に行くよりは、全然名前も聞いたこともないところや、博物館へ行って、いいお天気や美味しい食べ物、家族の笑顔などの写真を載せて、「気分転換できた」、「美味しかった」、「楽しかった」など、自分の感触を重点にしたことが分かりました。

ビジネスチャンス・キーワード:
観光、祝日の過ごし方、余暇の過ごし方、旅行、観光

中秋節

旧暦8月15日、満月の日は、中秋節です。今年は西暦9月27日で、ちょうど日曜日に当たりました。
中秋節は、昔から家族団らんの日で、明月の下で、家族が親のところに集まり、月餅(ゲッペイ)を食べながら、いろいろな話しが弾むのが恒例です。毎年、大体9月末にあたり、1週間くらい(10月1~7日)もある長い休みの「国慶節休み」の直前なので、わざわざ、この中秋節のために休暇を取って地元に戻る人は少ないですが、近くに住んでいる子どもは、大体親と一緒に過ごします。よって、この日に外食を誘うのは、本当に「礼儀知らず」ともいえます。
ゲッペイといえば、皮にも油と砂糖を沢山入っており、もちろん餡はものすごく甘いのは、いうまでもないことです。30年前なら、ケーキもなかったので、甘いゲッペイは、おいしくて、とても食べたい存在で、中秋節が待ち遠しかったものでした。が、今のゲッペイは、前のものより皮が薄くなり、餡が多い分、余計甘すぎで、中秋節だから「少し」食べるだけ、になりました。餡も伝統的な数種類に加え、鮑も入れるような“高く見えるため&高く売るため?“という、変なゲッペイの種類も含め、種類が多すぎて、「子どもの時食べた味」という月餅は、全然、まったく、見つからなってしまった、のです。

ビジネスチャンス・キーワード:
月餅、元祖の味、昔のお菓子、食の安全、食の慣習の保護

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